DIARY

A-select 明治 蓋つきカップアンドソーサー

昨夜の大雨でカンカン照りでも外はたっぷりの湿度に包まれています。そんな天気に振り回されクラクラする頭のままこのティーカップを眺めれば、まるで太鼓や笛、三味線の音色まで遠くに聞こえてきそうで夢見心地。細密に描き込まれた夏の景色に引き込まれる絵付けのティーカップを今日のA-selectに選びました。

明治期に欧米向けに作られたエッグシェルと呼ばれる薄手の磁器製のカップです。水彩画のような淡いにじみが美しい彩色と驚くほど繊細な筆の運びに当時の職人の技術の高さを感じます。

ゆっくり手でカップを回し眺めれば次々と人物が現れ盆踊りの輪が動き出します。

ソーサー、カップ、蓋に一周描かれた提灯が風になびくさま、日本を意識し描かれたと思われる季節違いの桜の花も青い釉薬で涼し気です。

極薄・軽量・強靭な磁器であるeggshell porcelainは光に透かすと裏の絵柄が透けるほど。明治中期以降は大量生産がすすみ絵付けについてこれほどの技は見られなくなります。

明治の初期、日本から海を渡った小さな器には昔の夏の記憶が封じ込められているようです。

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