
庭の緑が一気に茂り始め、小さな花があちこちに咲き、勢いのある季節の訪れです。4月最後のA-selectは久しぶりの登場、モーゼルのクラッケルガラスの花瓶です。

クラッケルガラスは熱いガラスを冷水に浸すことで表面にひび割れ模様を生じさせ再度焼成しその模様を残す技法。16世紀のヴェネチアで発明されました。表面だけにひびを入れ内部は壊れないようにする絶妙なタイミングと温度管理が必要で熟練の職人の手により製作されました。


クラッケルガラスの製作方法を読むと張り詰めた緊張を感じますが、Moserのクラッケルに描かれる水辺の生物たちは楽しく生き生きとしています。それがこの花瓶の魅力!ガラスのキラキラとした輝きを背景に細かく描きこまれた赤紫色のふわふわの水草。そこを目指している小魚の目を見ると少し後ろを気にしているようにも見えます。インテリアとして飾る楽しみ、花をいけて使う楽しみ、そして眺める楽しみがつまった花瓶です。

1900年代 Moser (チェコ) 高さ:13㎝ 幅:12㎝ 口径:5.5㎝
【MOSER】モーゼル社は1857年に現在のチェコに設立され、1870年代にウィーンの王室御用達ガラス工場に指定された高い技術を誇る工房です。このモーゼル社も19世紀末からクラッケルグラスを制作し高く評価されました。20世紀になると様々な色ガラスにクラッケル処理を施し美しいエナメルで自然界を描いたガラス製品を世に送り出しました。
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