DIARY

Moser 鳥が描かれた大きなクラッケルガラスの花瓶

春の水辺を思わせるモーゼルのクラッケルガラスの花瓶はこれからの季節楽しんでいただくのにぴったりなアンティーク。今まで扱ったクラッケルガラスの花瓶は小ぶりのものがほとんどでしたがこちらは大きく、たっぷりとしたサイズが魅力です。画面が広いので描かれた動植物も伸びやか。生き生きとした表情を楽しめます。

鷺のピンクから白、グレーへとつながる色のグラデーション、風に吹かれているような羽の流れは美しく、水辺を歩む姿を見ると心弾むような春の気配から爽やかな初夏への移り変わりも感じます。そして花瓶を回していくともう一羽のサギが登場。こちらは立ち姿がすっとしてすまし顔。それぞれに表情があります。

クラッケルガラスは熱いガラスを冷水に浸すことで表面にひび割れ模様を生じさせ再度焼成しその模様を残す技法。16世紀のヴェネチアで発明されました。表面だけにひびを入れ内部は壊れないようにする絶妙なタイミングと温度管理が必要で熟練の職人の手により製作されました。

ガラスの色はごく薄い琥珀色。クラッケル技法による細かなひびは太陽や照明でキラキラと輝きます。またそのガラスの揺らぎのおかげで反対の面に描かれた景色はぼんやりと淡く見える程度にとどまるのも魅力です。

1900年代 Moser (チェコ) 高さ:19 .5㎝ 幅:17.5㎝ 口径:9.3 ㎝

「Moser Crackle glass 」

クラッケルグラス(ひびの入ったガラス)の制作技術は16世紀のヴェネチアで発明されました。この手法を使ったガラス製品が18世紀に人気を呼び19世紀にかけてヨーロッパとアメリカの数多くのガラス工房で制作されるようになります。モーゼル社は1857年に現在のチェコに設立され、1870年代にウィーンの王室御用達ガラス工場に指定された高い技術を誇る工房です。このモーゼル社も19世紀末からクラッケルグラスを制作し高く評価されました。20世紀になると様々な色ガラスにクラッケル処理を施し美しいエナメルで自然界を描いたガラス製品を世に送り出しました。ここ数年は欧米でクラッケルグラスの人気が急上昇しているため、入手困難となっています。